原発再稼働と小沢一郎、そしてメガソーラー

7月1日午後9時、大飯原発(福井県おおい町)3号機の燃料制御棒が引き抜かれ、原子炉が1年3か月ぶりに再稼働した。
福島第一原発の事故以来、国内の原子力発電所が再稼働するのは初めてのこと。
運転が順調ならば、2日午前6時ごろ「臨界」に達する見込みで、4日に発電を開始。徐々に出力を上げて8日にフル稼働する予定である。

ついに再稼働してしまいました。
「原発ゼロの日本」は2ヶ月たらずで終わってしまいましたね。



大飯原発前では、前日から大規模な抗議行動が行われました。


マスコミは今日になるまで報道しませんでしたし、報道された映像を見ても現場の様子はまったく伝わってきませんでしたが、「現場の現実」はUstreamを利用して生中継され、TwitterやFacebookによって拡散されていきました。
いやぁ、これはすごかったです。
現場にいるような錯覚を覚えてしまいました。
既存のメディアに頼らずとも、「そこで何がおこっているか」を個人レベルで発信し受け取ることができる・・・・Ustreamの価値(素晴らしさ)を改めて実感しました。


再稼働反対派の市民と対峙する警官隊。


楽器を鳴らし、リズムに合わせて、踊ったり腕を組んだりしながら「再稼働反対!」を叫ぶ人々。
これも今まで見たことのない光景でした。


幕末の「ええじゃないか」を思い出したりしましたが(^^;)、中には楽しそうに笑いながら踊っている人もいて、ちょっと違和感を感じてしまいました。
みんなとの連帯感がうれしかったのかもしれないけれど、日付が変わった今はお祭り騒ぎのようになっています。



警官隊との小競り合いがおこったのも残念でしたね。
大きな怪我人が出なかったのが幸いでした。


今回の顛末、みなさんはどう思われましたか?
「ちょっぴりノリの良すぎた抗議」に違和感を感じたのはボクだけではないと思いますが、でも、これはこれで(「NO NUKES」の1つの意思表示として)ありかなとも思います。毎週末に東京で行われている数千人規模の整然としたデモ同様、「実行動」は「脱原発」を国民的なムーブメントにするために必要なことだし、「行動にうつす勇気」に対しては(それが極端に目的から逸脱していない限り)最大限の敬意と支持を表明するべきだと考えます。
ただ、一番大きなジレンマは、デモや意思表示だけではこの国を変えることはできないという現実です(苦笑)
大声で叫ぶだけでは、「原発再推進」に向けて動き出した国の方向性を変えることはできません。
もっと強かな戦略を持たなければ!
でも、それが何なのかがさっぱり分からない(XoX)
我々は国政に対する直接請求権を持たないですから・・・・。
やっぱり選挙かなぁ?
永田町界隈ではまたもや一郎がワガママを言っているようだけど、どうせなら離党して内閣不信任を叩きつけ、衆議院を解散に追い込んで欲しい。
そして、原発と消費税を争点とした選挙をやれば、少しは国民の声が反映されるかもしれません。
・・・・うん、そうしよう!(^o^)
頑張れ、小沢一郎!(爆)


【追記】
同じ日に「脱原発」の先鋒に立つ孫さんがメガソーラーを稼働したのも印象的でした。
代替エネルギーというにはまだまだ心もとないですが、口だけでなく「脱原発」に向けての方策を1つ1つ実現させていっているのは素晴らしいですよね。
今後の展開に期待大です。

 
| 脱原発の未来へ | 16:51 | comments(0) | - | ↑TOP
原発再稼働
関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の安全性を検証してきた福井県原子力安全専門委員会「東京電力福島第1原発事故を教訓に、想定すべきとされる地震、津波が襲っても、原子炉の安全を確保するために必要な対策は確保されているものと評価できる」という報告書案を示しました。
これを受け、福井県知事は今週中にも大飯原発の再稼働を決断するようです。

いやはや何とも・・・・。
8日に首相が「見切り発車」の会見したばかりなのに(^^;)
誰かが「責任を負う」と発言するのを待っていたかのようなスピーディな展開ですね(苦笑)
実際、それが本当のところなんだろうな。

地方自治体や電力会社にしてみれば、福島のような原子力事故がおこる可能性よりも、電力の供給不足(停電)による損害がおこる可能性の方が明らかに高いですもんね。
とりあえず目の前のリスクを回避するために原発を再稼働したいと関係者の誰もが思っているだろうし、政府や官僚の判断も、つまるところは「国民生活を守る」=「自らに起こり得る直近のリスクと責任から逃れる」ためなのでしょう。

それはそれで仕方のないことだと思うし、本当に電力が足りていないのであれば現実問題として再稼働もやむを得ないと思います。
一番の問題は、政府や電力会社の言っていることが信用できないという現状です。
福島の事故の原因と課題をもっと明らかにしないとイケナイし、政府や東電はもちろんのこと、原発を推進し安全神話を振り撒いてきた御用学者たちも自らの過ちを認めないとイケナイ。
それが無いし、そういう姿勢すら見えないから、何を言われても信用できない。
首相だって、中長期的には「脱原発依存」(この言葉も変!)を高めるというのなら、そのための施策がどの程度行われていて、どんな目処が立っているのかを示さないと、原発再稼働=原発再推進のための詭弁にしか聞こえません。

おそらく、大飯原発が再稼働すれば、地滑り的に他の原発も動き出すことでしょう。
首相が口にした「感謝」の名の下に地元にはより多くの補助金がばらまかれ、「なぁんだ。結局、地元もオッケーして再稼働したじゃん」と、多くの国民は何事もなかったかのように無関心になっていく・・・・。
それが、この国のいつものパターンです。

そんな流れに個人としてどう抗えば良いのか分かりませんが、「脱原発」の旗印だけは掲げておきたい。
首相の発言は信用できないけれど、本当に「脱原発」の方向に舵取りをしてほしい。
10年、20年、いや50年かけてもいい。
その間は必要だと言うのなら「原発のリスク」を背負っても良い。
最終的には「原発に依存しない国」になって欲しいと、心から祈ります。

 
| 脱原発の未来へ | 01:29 | comments(0) | - | ↑TOP
汚染がれき、埋め立てへ
環境省は、東京電力福島第1原発事故に伴い放射性物質に汚染されたがれきについて、放射性セシウム濃度が1キロ当たり10万ベクレルを超える焼却灰についても、放射性物質の流出を防止する措置を取れば、埋め立て処理を認める方針を固めた。
具体的な方法としては、焼却灰をセメントで固めた上で、雨水の流入や地下水への流出を防ぐ措置が取られた施設であれば、埋め立てを認める。
同省が16都県の産業廃棄物焼却施設約650施設のうち110施設で焼却灰の放射性セシウム濃度を調査した結果、福島県内の1施設で1キロ当たり14万4200ベクレルと10万ベクレルを超えた。

放射性物質の流出を完全に防止することができるのか。
埋め立て地について周囲の理解は得られるのか。
それとも黙って闇に葬る気なのか。
いずれにせよ、処分することの出来ないモノをどんどん生み出す原発はすべて廃炉にすべきだ。
まずはそれを決めようじゃないか。
当面は原発に頼らざるを得ないとしても、ドイツやイタリアのように、ゴールをしっかりと決めよう。
それがないから首相の発言もブレブレだ。
国内と国外で言うことが変わってしまう。
今こそ決断すべし!
べしべしべし!


| 脱原発の未来へ | 23:31 | comments(0) | - | ↑TOP
最近、原発の話をしない
(福島から離れている)関西だからというのもあるだろうけど、「原発」や「放射能汚染」が家や職場の話題にのぼらなくなった。
各地でおこっているデモについてもまったく話に出てこない。
「距離が離れている」というのは実は大きなことで、「直接関係ない」という意識が人々の感覚を鈍らせてしまう。
そして、京都の送り火や福島県産の花火など、突然そこに「関係」が現れると、慌てふためいて「関わりたくない」と拒絶する。
悲しいけれど、それが人間だ。
でも、今回はその「本性」を意識的に乗り越えないとイケナイ。
なぜなら、「原発をどうするか」は(下の彼らが言うように)ボクらと、ボクらの子どもたちの「命の問題」だからだ。
無関心にだけはなっちゃイケナイと改めて思います。

と言いながら、この記事もスルーされているのかな・・・・(XoX)

 



| 脱原発の未来へ | 23:31 | comments(0) | - | ↑TOP
サマータイム・ブルース
23年前の映像です。
「人気のないトコで泳いだら、
 原子力発電所が建っていた。
 さっぱり分かんねぇ! 何のため?」
「それでもテレビは言っている。
 日本の原発は安全です。
 さっぱり分かんねぇ。 根拠がねぇ!」
「原子力は危ねぇ!
 いらねぇ! 欲しくねぇ!
 いらねぇ! もういらねぇ!」
RCサクセションの『カバーズ』に入っている1曲ですね。
社会風刺の効いた曲が集められたアルバム。
当時は好きでよく聴いていましたが、若い頃のボクは、これを「反体制ソング」だと受け取っていたし、「ここまで歌って大丈夫なのかな」なんて思っていました。
つまり、当時から原発行政(体制)に対する「キナ臭さ」を感じていた。
誰もが分かってた。
でも、「反体制」を気取ることはあっても、本気で盾突こうなんて思わなかったし、原発についても真剣に考えてはいなかった。
今、改めてこの映像を見て、清志郎の勇気と強さに感服すると同時に、自分のふがいなさを恥ずかしく思います。
今こそ、この歌詞と清志郎の声に真摯に耳を傾けなければ。


 
| 脱原発の未来へ | 11:34 | comments(0) | - | ↑TOP
現地の決断と代表選
福島県南相馬市は、東京電力福島第一原発の周辺自治体に交付される電源三法交付金の一つ「原発施設等周辺地域交付金」について、今年度分の約5500万円の申請を辞退する方針を決めた。
第一原発関連の交付金を申請しないことが明らかになったのは、交付対象自治体で初めて。
同市は原発事故後、脱原発を表明し、「原子力に依存しない町づくり」や「脱原発」を盛り込んだ市の復興ビジョン案をまとめており、桜井勝延市長は「脱原発を掲げている以上、原発関連の交付金をもらうわけにはいかない」と判断した。
同市は、東北電力の浪江・小高原発建設計画で交付を受けていた電源三法交付金の「電源立地等初期対策交付金」の今年度分約5200万円について、交付申請をしないことをすでに明らかにしている。同原発については、東北電力が同市小高区と同県浪江町に建設予定で、2016年度着工、21年度運用開始を目指している。
(YOMIURI ONLINEより抜粋)

自民党B代表選の候補者が出揃いました。
正直、パッとしない顔ぶれですね。
二言目には「復興最優先」「挙党一致」。
そんなことは当たり前田のクラッカー。
そのために何をするの?って話でしょ。
もっともっと具体的な話を出して欲しい!
大連立? それは公算があって言ってるの?
経済成長を前提にして増税はしない? どうやって成長するのさ?
一郎の処分見直しが争点? アホか!

頼むから、原発事故に苦しむ現地の声に、真摯に耳を傾けて欲しい。
そして、直近の課題とともに、大きく「この国のこれから」を考えてほしい。
「次の代表選までのつなぎ」くらいにしか思っていないのなら、即刻辞退すべし!



| 脱原発の未来へ | 10:34 | comments(0) | - | ↑TOP
県民出資の太陽光発電事業
 太陽光発電施設を自宅に取り付けられない人でも再生可能エネルギーの普及に参加できるよう、兵庫県は県民の出資による太陽光発電事業に乗り出す。来年度の事業化を目指して、まずは専門家らによる検討会を発足させる。
 兵庫県が想定している仕組みは、県民から集めたお金でファンドを設立し、公共施設の屋根などに太陽光発電施設を設置する会社に投資する。生産した電力を関西電力に売り、維持管理費などを引いた収益を出資した県民に配当するというもの。
 再生可能エネルギーを電力会社に買い取らせる特別措置法案は今国会中に成立する見通しとなったが、買い取り価格は未定。県は大学教授らによる検討会を5回程度開き、同法の内容を踏まえて、収益を確保するための枠組みを年度内に詰める。
 太陽光発電施設の設置場所としては、洲本市など年間の日照時間が2千時間を超える地点がある淡路島内を中心に検討してゆく方針という。
 県はこれまで太陽光発電施設を設置する世帯に対し、補助や融資の制度を整えてきた。しかし、集合住宅に住んでいる場合や、費用負担の問題などで自宅に設置できない世帯も多い。こうした人たちでも、再生可能エネルギーによる売電収入の恩恵を受けられる仕組みをつくることが課題だった。
(asahi.comより抜粋)

ほほう。
なかなかやるじゃん、兵庫県!
何をするにしても採算が合わないと広がりませんからね。
良い事例になってくれたら良いなぁ。


| 脱原発の未来へ | 21:41 | comments(0) | - | ↑TOP
やっぱりか・・・・
 政府は、東京電力福島第一原子力発電所事故で高濃度の放射性物質に汚染された周辺の一部地域について、長期間にわたって居住が困難になると判断し、警戒区域を解除せず、立ち入り禁止措置を継続する方針を固めた。
 数十年続くとの見方も出ている。
 菅首相が地元自治体に直接説明し、避難の長期化を陳謝する方向で検討している。具体的な地域は、福島県双葉、大熊両町の原発3キロ・メートル圏内などを念頭に精査する。
 政府は4月、原発20キロ圏内を原則として立ち入りを禁じる警戒区域に設定。来年1月中旬までに原子炉が安定的に停止する「冷温停止状態」を達成し、警戒区域を解除する方針を示してきた。
 しかし、文部科学省が原発20キロ圏内の警戒区域内で事故発生後の1年間で浴びる放射線の積算量を推計したところ、大熊、双葉両町を中心とする35地点で、計画的避難区域などの指定の目安となる年間20ミリ・シーベルトを大きく超えた。原発から西南西に3キロ離れた大熊町小入野では508・1ミリ・シーベルト、同町夫沢でも393・7ミリ・シーベルトと、高い推計値を示した。
(YOMIURI ONLINEより)

小手先のゴマカシばかりするからこんなことになる!
500ミリシーベルト!?
話にならんでしょ!
頼むから何も隠さず、すべてを公表しておくれ。
何をどう考えようにも、どの数字を信じて良いのか・・・・。
どいつもこいつも自分に都合のいい資料しか出さないから、事故の全体像が見えません。
・・・・って、誰も見えてないのかもしれんけど(^^;)
それが一番怖いな。


| 脱原発の未来へ | 01:26 | comments(0) | - | ↑TOP
原発は核抑止力
「原発を減らすことに異論はないが、
 なくすことには賛成できない。
 なぜなら原発は “核抑止力” だから。
 日本は核武装すべきだとは言わないが、
 いざという時に核兵器を作れる技術を捨ててはイケナイ」
そのための原発なんだ。
と、石破茂さんがインタビューに答えて語っていました。
なるほど。
結局のところ、これが自民党のホンネなのだね。
更に言うと、こういう論点でつきつめて議論をした時に「そんな技術はいらない」と言い切れる国会議員は野党の一部にしかいないのではないかなぁ。

原発は電力供給ではなく、核兵器を作れる能力として必要だ。

この意見、みなさんはどう思われますか?


 
| 脱原発の未来へ | 02:30 | comments(0) | - | ↑TOP
それでも原発は要りますか?
今回の事故は想定外の出来事だったのかもしれない。
でも、そんな事故が2度と起こらないという保障はない。
その時に、第2、第3の「福島原発=処理できない危険な廃棄物」が生まれるのだとしたら・・・・それでもまだ「原発が必要だ」なんて言えますか?

少し長いですが、前の記事で紹介した「NEWSWEEK」(2011年7月27日号)の記事(抜粋)を載せておきます。
ぜひ読んでみて下さい。

 
 危険な廃棄物と化した原発は解体撤去もままならず、事故処理は今いる日本人が皆死んだ後まで続くかもしれない。

 福島の一角で巨大な事故を起こした原発が不安を与え続けている。放射能の塊を早く取り除いてほしい──というのは、避難民や周辺住民のみならず、日本全体に共通した願いだ。汚染水を海に投棄したときに抗議した隣国や、地球の裏側なのに甲状腺の被曝対策として安定ヨウ素剤を買いあさった国があったことを考えれば、世界全体の願いと言ってもいい。

 しかし放射性物質を外界に大量に放出した東京電力福島第一原発は、事故から4カ月を経た今になっても、撤去の前提となる原子炉の安定すらできずにいる。にもかかわらず、東電や政府関係者は確かな根拠があるとも思えない発言を続けている。

 福島原発の最終的解決は、すべての元凶である核燃料と放射性物質を取り除き、原発を解体撤去する廃炉の実現にある。だが、それが実現するのはいつなのか。政府は内閣府原子力委員会の中に廃炉検討チームを設置する方針だ。廃炉に向けた政府と東電の中長期の工程表も近く明らかにされるだろう。
 だが政府と東電は事故以来、事態が収束に向かっているように見せることにひたすらエネルギーを注いできた。メルトダウン(炉心溶融)はおろか、それより深刻なメルトスルー(溶融貫通)が起きていたことも、3カ月たってやっと認めたほどだ。公表される廃炉スケジュールが「最悪の事態」を踏まえたものになるとは考えにくい。

 前例のない事故を起こした福島第一原発には、今から廃炉に至るまでの過程にどんな専門家も答えを知らない技術的難題が山積している。廃炉には、事故を起こさなかった普通の原子炉でも30年程度の時間がかかる。原子力委員会は福島の廃炉に要する時間を「数十年」と評しているが、この「数十年」は限りなく100年に近い、あるいは100年以上と考えたほうがいいかもしれない。

 福島第一は破壊の程度がひどいため、事故処理にはほぼ永遠と言っていい時間がかかるだろうと、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教は言う。チェルノブイリ原発の石棺のように巨大な構造物で建屋を覆った上、作業員の被曝を避け、放射性物質が外に漏れ出さないよう監視しながらの作業が必要だ。「いま生きている日本人は誰一人、その終わりを見ることはないのではないか」と、小出は言う。

 福島第一は廃炉にもできず、放射能を閉じ込めた「悲劇のモニュメント」として半永久的に残る──その可能性すら、政府や東電はまだ認めていない。

 そもそも廃炉は原発から使用済み燃料を取り出し、構造物を解体撤去して更地に戻す廃棄作業だ。原発を造るより長い時間と労力と巨額の費用が掛かる。
 6月に国民投票で脱原発を決めたイタリアでは、90年に停止が決まった福島と同じ型のカオルソ原発など4基の廃炉に取り組んでいる。作業は2020年頃に完了する予定で、その費用は約7000億円に上る。福島の場合、コストはその何倍にも膨らむはずだ。
 廃炉は、これを請け負う原子力業界にとってはビジネスチャンスだ。世界的な脱原発の流れも受けて、今後大きな市場になるとみられている。「だが、福島だけは誰も手を出したがらないだろう」と、コンサルティング会社ブーズ・アンド・カンパニーでエネルギー問題を担当するパウル・デュールローは言う。「爆発した原発の廃炉が技術的に可能なのかどうかも分からない」

 廃炉で最も重要なのは、核燃料を取り出すことと、高濃度から低濃度まで放射能に汚染された廃棄物を処理することだ。
 原発が冷温停止した後、放射線レベルが下がるのを何年も待ち、低濃度のものから徐々に解体して最後に原子炉を撤去する。その際、染み付いた放射性物質を分離・分類し、不純物を取り除いた上、種類別にまとめて密閉容器に閉じ込めなければならない。放射能を周囲に広げないための、原子レベルの超ハイテク技術だ。
 だが爆発した原発の廃炉は、これまで誰も経験がない。86年に爆発したチェルノブイリは廃炉にできず、今も放射能レベルが下がるのを待ち続けている。設置から40年を経てコンクリートが浸食され、石棺はもはやボロボロの状態だ。

 普通に運転停止した原発であれば燃料棒を束ねた燃料集合体を取り出せば済むし、周囲の汚染も大したことはないと、かつて東芝で原子炉格納容器の設計をしていた後藤政志は言う。
 だが福島第一の場合は、大量の放射性物質が格納容器の外に漏れ出て、建屋内部が放射能まみれになった。「もはや普通の廃炉という概念は当てはまらない」と、後藤は言う。燃料集合体は溶けてチーズのようになり、どこに流れ出したかも分からない。周囲は壁まで放射能が染み付いている。この状態からどうやって放射性物質を取り出すのか、もはや誰にも分からない。
 「福島は廃炉にできない」と、後藤は言う。英科学誌ネイチャーは先週、専門家の見解に基づく記事で、数十年から場合によっては100年かかるとの見方を示した。損傷した燃料を含めて原子炉内の放射性物質の除去に長い時間がかかることなどがその理由だ。記事は、放射能汚染の除去作業が2065年まで続くチェルノブイリと似た状況になるだろうと指摘している。

 福島第一原発の危機は、まだ現在進行形である可能性もある。メルトスルーしたウラン溶融体が、地下深くに潜っていって地下水を汚染する危険性を京大の小出は警告し続けている。逆に炉心のすべてが崩壊していない場合は、これからさらにメルトダウンが発生して水蒸気爆発が起きる可能性もまだ否定し切れないという。
 いずれの場合でも、今とは桁違いの放射能汚染が広がることになる。廃炉もますます遠のくだろう。
 事故の終わりは当面期待できず、待っているのは巨大廃棄物との果てしない戦いだけかもしれない。汚染された原発周辺の土壌を完全に元に戻す技術も、人類は持ち合わせていない。どれだけ巨大なふたで覆ったとしても、「悲劇のモニュメント」は今後数代にわたって日本人を脅かし続ける。


| 脱原発の未来へ | 02:43 | comments(0) | - | ↑TOP
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